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2022年度

長野青年会議所

2022年度理事長所信

PAY IT FORWARD

~動け、すべては未来のために~

■はじめに

この時代を築き上げた先達に常に敬意と感謝の気持ちを持ち
常に問題は本質を捉え
つながりを大切にし
発信と行動は鋭く
そして絶えずそれが未来のためのひとづくり、まちづくりかを問い続ける
長野青年会議所でありたい
すべては未来のために

2019年暮れに突如として世界に現れたCOVID―19は、現代の科学技術をもってしても、完全終息を予測することは未だに困難であり、全世界で未知のウイルスとの闘いが今もなお続いています。新たな価値観が次々と生まれ、ニューノーマル、デジタルトランスフォーメーション、ワーケーション、新たな時代の到来を表す言葉が飛び交い、昨日常識とされたことが今日には非常識、今日常識とされていたことが明日には非常識、このように表現できる程、社会変化のスピードは激しく、まさに私たちは混迷の時代に生きていると言っても過言ではありません。しかし、新たな価値観や概念が次々に現れ、前例の無い判断を迫られたとしても、私たちはその変化とスピードに順応し、より良い未来のために鋭く決断し主体的に行動することで未来を切り拓いていかなければならないのです。この変化の渦中では、どのような未来が私たちを待っているかを予測することは難しく、進むべき道の選択肢がいくつもある中で、最適解に導くことは困難なことかもしれません。だからこそ本年は、未来を生きる人々にとっての時代がどうあるべきか、その飽くなき探求と追求が生む運動こそが、その時代を生きる人々にとっての明るい豊かな社会を創るという信念を強く掲げます。そして、この長野青年会議所の歴史を築き、まちへ多くの影響と変化を与えたかつての先達がそうであったように、私たちは知恵を出し合い、新たな価値観を創造し、自らの手でより良い未来を築くべく運動を推進してまいります。

■会員あっての組織

 青年会議所は全世界で17万人以上の会員数を誇り、20歳から40歳までの若者により、多様な職業、立場、出身地、そして性別に関係なく構成される国際組織であります。日本の青年会議所はより良い変化をもたらす力を青年に与えるために、成長・発展の機会を提供することを使命とし、奉仕、修練、友情という3信条を掲げ、明るい豊かな社会の実現を目指し運動を推進しています。推進する運動や活動の過程における自己修練によって培われた力により地域社会への奉仕を行うことで社会へインパクトを与え、あるいはその自己修練や社会への奉仕という過程の中で生まれる友情によってお互いを支え合うという強い関係性が構築されます。そして様々な価値観や思考を持つ仲間に出会い、互いに切磋琢磨することにより、大きな自己成長につながるのです。この相互に作用する信条を持って共に行動し時間を共有したことで生まれる、かけがえのないつながりや自己成長は必ずや人生を豊かなものとすると信じています。長野青年会議所の強い魅力はここにあり、その魅力を未来の仲間たちへ確実に伝えることが共に活動することへの意欲を高めると考えます。
私が2016年に入会した当初、長野青年会議所の会員数は約200余名を誇り、12委員会にて構成されていたのを覚えています。さらにそこから6年前、2010年度、長野青年会議所における会員資格を持つ長野市在住の20歳から40歳までの人口10,000人あたりの長野青年会議所会員数は約28名でありました。しかしながら、10年後の現在2021年度では22名と約20%の減となっています。このデータが示すように、会員減少の理由は人口構造の変化による対象年齢人口の減少に起因しているだけではないことが伺えます。情報化社会が進んだ今日では、情報入手手段も多様を極める中、あらゆる視点や観点、そして主観での情報が溢れ、個人が自分自身を納得に導く情報を選択し、意思決定に導かれやすい時代となっているのです。さらには、まちづくりやひとづくりなど社会活動への関わり方は、あらゆる手法、場所、時間、団体を取捨選択が可能であり、様々なかたちでその活動に携わることのできる時代になっています。このような時代の中では、長野青年会議所が育んできたその無類の魅力と想いを理論的かつ建設的そして多角的なアプローチによって、会員対象である若者のみでなく、まち全体に情熱を持って長野青年会議所で活動することの意義と魅力を伝え、人々の心を動かすことで共に活動する新たな会員を迎える必要があります。未来のためにさらに力強い運動を推進する基盤をしっかりと固めるべく、委員会という枠組みを超え、より良い地域社会の構築を担う最大の資本となる人財を全会員一丸となって創造してまいります。

■組織を支えるもの

 長野青年会議所は1953年の設立から68年間という長い歴史の上に成り立ち、青年会議所のミッション、ビジョンは変わらずとも、時代の変化とともに変遷を辿りながら成長を続け、盤石な組織基盤を確立してまいりました。この組織が公益社団法人として成り立つための根底は適切な財務会計と法令順守を徹底し、積み上げられた社会的な信用にあるのです。その信用を構成する要素である適正かつ厳格な組織運営、財務管理はいつの時代であっても変わるべきものではなく、たとえ社会変容による運動、事業の方向性に変化が生じたとしても普遍的なものであるべきです。しかし他方では時代の変化とともに事業や運動を推進する上での手法は様々に変わり、その変化に順応した組織運営や財務管理は強く求められるわけです。長野青年会議所においても、公益社団法人としての運営に関する議論が重ねられ、伝統的に実施されてきた事業の在り方についても検証し、新たな方向性を導き出す岐路に立っているということも現状です。この組織の未来に向けて確固たる信念を持ち、適正かつ時代に順応した運営や財務管理を行い、公益社団法人として法令の遵守を厳密に審査し、ゆるぎない信用を持つ信頼される組織を継続してまいります。また、青年会議所は組織内において「最後の学び舎」と表現されます。学び舎と表現されることからも自己研鑽の場であると言われ、様々な環境、立場、境遇に置かれている利害関係の無い仲間と出会い、自己成長のための機会が様々に提供されています。しかしながら、長年に亘り青年会議所運動に携わることができた会員もいる一方で、近年では在籍年数も浅く、多くの運動に携われないまま卒業を迎える会員も増え、役職を担うこと、即ちさらなる自己成長を目指す機会に自ら飛び込むことが難しく、躊躇せざるを得ない会員も少なくありません。会員の置かれる環境は多極化し、学びとする機会の捉え方も様々であります。それ故に提供された機会に飛び込み、共に運動を推進することで自然と培われていた資質や能力が醸成されにくい現状が否めない状況にあるのです。しかしながら私たちは地域を牽引するリーダーとして、自己の資質そして組織の価値を向上させていかなければなりません。その資質はJaycee(青年会議所の会員)としての資質であり、同時にこの社会を担う青年経済人が備えるべき資質、その両面であると考えます。その資質を育むには、青年会議所が掲げる信条のひとつである修練の機会を自らが修練として捉えていかなければ変化はありません。与えられた機会の中で、個人の指導力や社会開発力の向上とともに、論理的な思考と人間力を備えた力強い運動を推進し、地域社会にインパクトを与え続けるリーダーを輩出し、確固たる組織力を持つ長野青年会議所としてまいります。

■長野青年会議所ここにあり

 長野青年会議所は長きに亘り、風土として築かれてきた団体としての伝統文化、推進してきた運動による地域社会へのインパクトの数々、組織の魅力を向上、継続させることで、このまちにおいて長野青年会議所という独自のブランドを構築してまいりました。時代が変わろうとも私たちの目指すべきもの、運動への情熱は変わりませんが、組織運営の方法や事業内容は時代とともに変化を続けています。一方で、地域では確固たる知名度を持ち、存在感を放ち続ける団体でありたいと志しておりますが、昨今、様々なまちづくり団体の台頭やまちづくり運動が推進されることにより、その認知の低下や他団体との混在は否めないとともに、長野青年会議所に対するイメージの固定化が強まっていると感じています。唯一無二である組織ブランドの構築と運動の広がりは市民の認知があってこそ理解につながり、その認知と理解から始まる好奇心は若い能動者を生み、共感はパートナーを作り、私たちの運動をさらに力強いものへと変化させます。本年はどれだけの市民にそして会員に想いを乗せた情報を届けられるかに重きを置きたいと考えます。あらゆる広報手法が浸透する世界にて、Webメディアは当然不可欠な存在であり、その可能性はさらに拡大していくことが予測されることからもその活用は必須です。他方で、行政を含め、強い発信力を持つあらゆる団体、企業、メディアとの継続的な関係を構築し、広報において広域にわたるネットワークを構築することによる発信は、伝わる広報の原点として見つめ直す必要があると考えます。先進的な多くの広報発信手法を取り入れながらも原点に返り、青年らしく足を使った人間同士の関係構築が身を結ぶ広報活動もまた、このような時代だからこそ必要ではないかと考えるのです。私たちが推進する運動の発信力を多角的に高め、伝えたいことが広く伝わる広報を推進することで組織プレゼンスの向上を図ってまいります。さらに、長野青年会議所にはこの団体の外へ飛び出し、出向者として活躍する仲間がいます。全世界、全国、全県から集まった会員との出会いは、出向先、各々が所属する各地青年会議所の文化や伝統を共有でき、そして得られる多角的な視点は出向者の自己成長とともに、長野青年会議所の財産となります。そして、長野青年会議所という枠組みを越えたネットワークを構築し、交流によって生まれる気づきや学びは、組織がさらに発展するための一要素となるはずです。長野青年会議所を代表して立ち向かう出向者を会員全員で支えるとともに、自らに与えられた機会は最大限の成長と新たな視点を学ぶ契機とし、多様な観点と視点を備えた柔軟性のある組織を創造してまいります。

■未来を担う人財を

 近年、人生100年社会と叫ばれる中、少子高齢化は著しく進み、内閣府が発表する統計によると2050年には日本の総人口は1億人を割るとも予測されています。少子化の影響による生産年齢人口の減少、即ち労働力の減少は社会構造や経済状況に大きな影響を与え、この国、地域社会の根本的な人的資本の不足が明確に予測されているのです。政府は子育て支援や働き方改革、また外国人労働者受け入れ施策の強化など、少子高齢化に対する施策を打ち出し推進を強化してまいりました。しかしながら、近未来における労働力の不足という問題にリンクする少子化問題の解決は一日にしてならず、即効性のある特効薬となる施策はありません。たとえ今、歴史上にあるベビーブームのような状況が起き、出生率が劇的に改善されたとしても彼ら彼女らが生産人口として活躍する時代を迎えるのは約20年後、30年後であるのです。この予測される社会を支える労働力の不足を海外から受け入れる労働力や人的資本で補うということも思案され、政府による入管法の規制緩和や様々な施策が新たに推進されていますが、この先本当に不足している労働力のすべてを補われることが保証されているものではありません。国家、行政によって少子化問題に対してどのような施策が講じられたとしても、近未来では労働力の確保という問題を自国で解決することは残念ながら困難であることが明白です。とりわけ私たちが住まう地方都市における労働力不足問題は深刻であります。それ故に今、私たちは少子化に起因する労働力の減少問題に向き合うと同時にこの近い将来、共に社会を担う世代に対し、人的資本である個々の社会人基礎力を向上させ、一人ひとりがもつ能力、そして生産性と国際競争力の向上を図ることで、たとえ少数であってもきたる社会を支え、牽引していく人財そしてリーダーが力強く躍進する社会を構築するべきなのです。国際的に比較しても日本の教育水準はトップクラスであり、私たちはこの教育の中で経験や学習を経て読み書きができ、計算ができ、社会生活を不自由なく送ることができています。一方で、社会人として、そしてフィールドを世界に置いた際に培われているべき知識、資質、能力そして経験は決して豊富とは言えず、社会で求められるものと教育で培ったものとの間の矛盾は少なからず存在しているのが現状ではないでしょうか。決して学校教育を批判的に捉えているのではなく、学校教育とともに私たち親や大人たちが責任を持ち、この社会人基礎力と呼ばれる「求められる力」を子どもたちに与え、そして子どもたちを育む広い世代がその重要性を認識し、未来に活躍するリーダー育成へ向けて行動することが必要であると考えるのです。私たち親や大人自身が若者や子どもたちにすべてを託すという考えを持つのではなく、未来を担う世代とともに歩みを進めることが責任であると自覚していくことが重要です。そしてその中で育まれたリーダーたちが活躍する未来は必ずや明るい豊かな社会であると確信しています。

■私たちの責任

 2015年の国連サミットにて採択された2030年までの達成を目指すSDGs(持続可能な開発目標)もいよいよ本年折り返し地点を迎えます。日本政府のシンボリックな施策を辿るとその多くがSDGsに紐づいていることが明白であり、私たちが住まう長野県や長野市も行政として強くSDGsを推進していることからも、地方から国際社会までがグローバルに目標達成を目指して歩みを進めていることは事実であります。SDGsは経済、社会、環境、3つの側面のバランスが取れた社会を目指す目標でありますが、「SDG Index and Dashboards Report」によると、日本におけるSDGs達成度評価の低いカテゴリーは環境面であると報告されています。これは消費エネルギーのうち再生可能エネルギーが占める割合の低さ、そして一人当たりのCO2排出量の多さに起因すると示されています。そして残念ながら、この環境面における問題だけは未来で取り返しのつかない、未来に託すことができない問題であるのです。だからこそ私たちはこの将来元の状態に戻すことが困難であろう環境問題に対し、危機感をもって地域社会から環境に対する意識の向上と持続可能性な環境のために行動していく必要があるのです。循環型社会、脱炭素社会、自然共生社会と環境を保全、維持する上で社会に求められる理想形は様々ありますが、いずれも市民一人ひとりの具体的な行動ゆえに実現するものであり、SDGsゴール17にあるように互いに手を取り合い、同じ共通言語のもとパートナーシップにより達成されるものであります。私たちは現代に生きるものとして、未来への大きな責任を自覚し、この環境というテーマに果敢に取り組み、地域社会から環境に対するムーブメントを起こすことで、後世へ持続可能な環境を残すべく行動していく必要があるのです。私たち長野青年会議所はこの環境の持続可能性を地域の未来へ担保すべく、地域社会に向けて運動を推進してまいります。また、全世界におけるパンデミックの影響も加わり世界や地域がめまぐるしく変化を続けている中では既存の価値観にとらわれることなく、私たち市民そして経済人が臆することなく創造的な新たな時代を切り拓いていくことで、より良い未来に辿り着くべきはないでしょうか。近年日本では、その一端を担うアントレプレナーシップ、即ち、企業家精神を持つ人財の少なさが諸外国と比較しても目立つ状況にあり、企業間競争力、国際競争力の低下が叫ばれています。アントレプレナーシップとは企業家精神を指す言葉とされ、新しい事業を創造し,リスクに挑戦する姿勢であると定義されます。さらに企業家精神とは単に、新たな事業をスタートさせる志である起業家精神を示すものではなく、新たな価値観やイノベーティブな発想を持ち、リスクに挑戦し、そして持続的に事業を発展させていくマインドを表します。この精神こそが混沌とした社会の中で新たな未来をつくる大きな可能性を秘めた力であると思うのです。かつての日本はその精神が大いに溢れ、困難な時代であっても果敢に挑戦し、その企業家精神が受け継がれた企業は国や地域、フィールドは異なっても経済を支える企業として存在し続け、現在もイノベーションを続けているのです。この絶え間なく変化を続ける混沌とした時代では安定を求めることが理想とされるかもしれません。しかし、このような時代だからこそこの企業家精神をこのまちへ再び呼び起こし、企業家精神の醸成によるリーダーの育成が必ずやこのまちがさらに輝く要素となると信じ、運動を推進してまいります。環境とアントレプレナーシップ、このふたつの共通点は「持続可能性の追求」であり、相互に作用することでよりよい未来への原動力となり、確かなかたちとして働くと確信します。

■世界に放つ魅力

 今もなお続くパンデミックと渡航制限から現在、インバウンド数及びアウトバウンド数ともにパンデミック前の数パーセントに満たない状況が続いています。長野青年会議所においても毎年お互いに往来を重ね、何十年もの長きに亘り強い友好関係を築き上げてきた姉妹青年会議所であるソウル江北青年会議所や友好青年会議所である台中國際青年商會との対面による交流はこの2年間叶わぬ状況にあります。このような現況ではありますが、パンデミック以前の2019年度では全国でのインバウンド数、約3,200万人のうち、長野県への訪問率は約3%を誇り、国際観光都市としての潜在性は明らかでありました。インターネットによりオンラインで現地の情報を得ることは容易であり、物流システムの発展によりその土地のものが現地に行かずとも簡単に手に入る時代ではありますが、残念ながらこのパンデミックが終息しない限りは現地に赴き肌で感じる、訪れる側、受入れる側それぞれのまちが持つ人、文化、伝統、そして風情を共有し合うことでのオフライン交流ができないのが現実です。現在は世界中の人々が行動を制限され、忍耐強くせざるを得ないという環境の中にありながらも、この先自由な行動が許される状況を迎えられた暁には多くの人々がコミュニケーションと人とのつながりを求め行動するのではないでしょうか。そのきたる機会が持つ潜在的な力はかつてないものであり、そこから生まれるコミュニケーションは文化の相互理解を深め、つながりは強い友情となって絆を作り、まちの国際意識が活性化することで、他のまちとは差別化された魅力を持つ都市へと発展を遂げる可能性を持つ、そんな理想を描いています。青年会議所は国際組織であり、JCIに加盟する国や地域は世界に128団体、そして約150,000人のネットワークを私たちは有しているのです。そのネットワークを最大限に活かし世界とつながることで、多角的な視点を養い、あらためてわたしたちのまちの魅力を探求し、世界に向けてこのまちの魅力を最大限に発信する機会を創造し、選ばれる都市としての基盤を構築してまいります。

■願いと感謝のまつりを

 長野の真夏の風物詩であり、長野青年会議所の代名詞と言っても過言ではない長野びんずるは「市民総和楽・総参加」の理念のもと誕生し、市民が一丸となって作り上げる市民祭として52年間に亘ってこのまちに活気と風情を与え、市民の心に夏の情景を刻んでまいりました。残念ながら過去2年間、運営側としてなんとか開催できないかとあらゆる対策を思案して準備を進めてまいりましたが、開催に至ることはかないませんでした。昨年度、本来であれば開催日であった日に通りを歩いた折、ある店舗からは長野びんずるのお囃子が流れ、浴衣姿の市民がちらほら善光寺へ向かい、歩かれていたのを鮮明に記憶しています。私が見たものは断片的な風景であったかもしれませんが、それだけこの長野びんずるはまちにとってかけがえのない存在であり、郷土を愛する市民の心に強く根付いているのだと感じます。まつりは古くからかたちや様式は変われども様々な「願いと感謝」が込められ、受け継がれてきました。この耐えなければいけない時間を過ごしてきた市民、そして長野青年会議所会員もそれぞれの願いが存在していることでしょう。そして、この状況下で諦めなければならなかったことは私たちだけではなく、市民一人ひとりに存在するのです。老若男女すべての市民の願いを受けとめ、そして感謝とともに心に響くびんずるまつりを創り上げ、まちと人々に活力を、そして未来に希望を与える市民祭としてまいります。

■未来のために

 このパンデミックはテレワークやワーケーションなどに代表されるニューノーマルと呼ばれる新しい価値観をもたらし、デジタルトランスフォーメーションという新たな概念を社会一般化、加速させました。社会は都市中心の一極集中構造社会から地方への分散型ネットワーク構造へ徐々にシフトしつつあり、長野市もその一端を担うべき地方都市であります。この先、短期長期問わず多様な価値観や思考を持った人々が長野に訪れ、地域に古くから暮らす私たちとともに地域社会を作り上げていくことが求められていく、そのような時代になりつつあるのではないでしょうか。まさにダイバーシティ社会の到来であり、その中で新たな地方文化の形成がなされることが予測され、地方都市の在り方も大きく変化の時を迎えています。オリンピックという国際大会がもたらしたまちの国際性やホスピタリティ、利便性の高い交通網や自然というかけがえのない財産に恵まれたこのまちは、年齢、性別、国籍関係なく、様々な価値観や文化が入り混じり、互いを受容しながら共生し、おのずと人が集う、そんなまちの空気を創り上げていくべきであると感じています。青年らしい自由で柔軟そしてイノベーティブな発想をもって、地域の新たな文化発信拠点を創造することの可能性を追求してまいります。
長野青年会議所は1953年の設立からこのまちを牽引していくという強い想いを胸に、地域のさらなる発展と明るい豊かな社会を願い運動を推進してまいりました。そして本年69年目を迎え、2023年には70周年という節目が訪れようとしています。60周年時には「光溢れる我がまち長野」をタイトルとしたビジョンを掲げ、65周年時には「Progress」と称し追加戦略が示され、これらの指針を基軸に私たちは青年会議所運動を推進してまいりました。この69年目における使命はこれまで指針のもとに推進されてきた運動、事業を検証し、新たな未来に向けて掲げるビジョン構築への礎となる手がかりを渡すことであります。急速に変化し続ける社会の中では、長期ビジョンの在り方に関しても検証の必要があるかもしれません。ただ時代がどんなに変わろうとも私たちが持つ明るい豊かな社会の追求は普遍的であり、近くても遠くてもすべては未来のためであると私は信じています。新たな未来に向けて、69年の想いを乗せたバトンをつないでまいります。

■長野灯明まつり

 1998年長野冬季五輪、オリンピックレガシー継承のもと継続されてきた長野灯明まつりは、このまちの冬を静かとも力強く彩り、市民のみならず全国から訪れる人々の心に平和への灯りをともし、本年で十九回目を迎えます。近年、第一回長野灯明まつりの開催から約20年を経る中で、時代の変化、長野青年会議所の組織変化に伴う運営面や財政面の問題を抱え、この長野灯明まつりの方向性について議論がされてきました。そして、昨年度の第2回定時総会において、この長野灯明まつりの継続と未来に継承してくことを会員の総意とし、これまで長野青年会議所が主に運営に携わっていた長野灯明まつり事務局を中心に、より市民参画型の開かれた運営組織を構築し、段階的に独立した組織を目指していくことが決議されました。私たちはこのまつりを残し、市民の皆様と協働しながら継続させていくことを選択したわけです。本年は長野青年会議所として委員会の設立はせず、有志制度を採用し、長野灯明まつり実行委員会事務局のサポートを行うとともに、私たちが持つ知識やノウハウを継承し、新たな運営組織が確立されるよう進めていく所存です。長野における冬の風物詩として、そして観光資源としても確立されているこの長野灯明まつりの平和のともしびを未来につなぐべく、多くの市民や行政、企業とのネットワークにより創られる、万人に愛される新たな長野灯明まつりに携わってまいります。

■結びに

 「恩送り」という言葉は受けた恩を直接その人に返すのではなく、別の人に送るという意味であります。スローガンにも示した通り、英語表記では「PAY IT FORWARD」と表現され、他人から受けた親切や無償の奉仕を新たなかたちとして払っていく、そして直訳すると先に払うことを意味します。私たちが受けた無数の恩は感謝を持って受けとめ、単にその恩をそのまま未来へ送るだけでなく、それらの恩は新しいかたちとして未来へ払っていくべきではないでしょうか。そしてそれこそがより良い変化を生む奉仕であると思うのです。本年、長野青年会議所は設立から69年目を迎えます、68年という長い歴史と70周年からの未来、即ち歴史と新たな時代をつなぐ使命を与えられた年であり、この時代を経てパンデミックが終息し、Withコロナ、ポストコロナとされる時代こそが私たちが起こす行動と運動の真価と結果が問われる時であると思います。そうであるからこそ本年、私たちの起こそうとする変化は未来を生きる人々にとってのひとづくり、まちづくりかを絶えず問い続け、運動を推進していく所存です。長野青年会議所は公益社団法人として社会的な責任を自覚し、より良い社会変化のために、地域へ肯定的な変化をもたらすために、運動を推進していかなければなりません。そして会員は、その責任感から目的達成のためであれば時に激しく意見をぶつけ合うことも、外的要因により思い描くものが実現できないことで挫折を味わうこともあります。しかしながら私たちは人と人の機微に触れられる会員同士がどんな困難にも立ち向かい、社会が抱える問題に果敢に挑戦することをやめません。これこそが長野青年会議所が大切に育んできたシンボルでもあります。そのような青年らしい情熱を胸に、革新性と創造性を備えた運動をまちに伝播し、燦燦と光が降り注ぐ私たちのまちを想い描き、長野の明るい未来を創造してまいります。
すべては未来のために。

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